ダウンライトの明るさ目安と必要台数をプロが解説!

ダウンライトの明るさと必要台数について ダウンライト
ダウンライト 明るさ 必要台数 選定

照明器具の一つであるダウンライトは、スポットライトに使われるように特定の場所だけを照らすだけでなく、マンションや戸建ての住宅などでも設置されることが増えてきています。

ダウンライトは他の照明器具と比較すると天井の見た目もスッキリすることから人気がありますが、素人では簡単に設置ができず電気工事を必要としますし、設置する台数や位置を決めるのも難しい商品でもあります。

そこで、この記事では、ダウンライトを設置する際に重要となる明るさの目安と必要台数について、わかりやすく解説してみたいと思います。

ダウンライトを設置する際の明るさの目安

早速ですが、まずは、現在一般的にLED照明器具の明るさの単位として使われている【ルーメン】をベースにどれくらいの明るさを目安にするのかを解説します。

また、他にも明るさの単位はいくつかありますので、各単位についても知っておくと役立ちます。

1畳あたり300~500lmが明るさの目安

基本的には1畳あたり300~500ルーメン(lm)が明るさの目安となります。

ただし、ダウンライトの場合には設置位置によってかなり差が生じますので、ここで目安として示している明るさはシーリングライトをベースにしているの、ご了承ください。

そして、300ルーメンは比較的落ち着いた明るさ、400ルーメンでは適度な明るさ、500ルーメンではしっかり明るめになると言われています。

LED電球のパッケージにはこのルーメン数が記載されており、一般社団法人日本照明工業会において、「LEDシーリングライトの適用畳数の表示基準」が定められているのでぜひ参考にしてみてください。

表1.LEDシーリングライトの適用畳数の表示基準
ダウンライト 畳数 明るさの目安

参照元:LED照明器具の適用畳数について

注)繰り返しになりますが、ダウンライトの場合は設置の数、位置によって単純に畳数で表記することは難しいため、表1を掲載しております。

灯りの単位であるルーメン・ルクス・カンデラについて

ダウンライト 明るさ 単位

照明や明るさにはさまざまな単位があって、それぞれが何を意味するのかがわかりにくいです。

そして、LED照明が一般的になってきた現在においては、消費される1秒当たりの電気エネルギー(消費電力)であるとワット(w)とルーメン(lm)の関係も理解しておく必要があります。

ここでは、そんな光の単位について解説していきます。

ルーメン(単位:lm)

ダウンライト ルーメン 太陽

ルーメンは【光の総量】を表しています。

わかりやすいイメージとしては太陽で、その光は放射線状に広がっており、その光源の光束とも呼びます。

光を線と考えた時に、その線の数が多いほど光の量が大きい、つまり明るいことを示しています。

LED電球に関しては、ルーメンにより明るさを定義しています。

業界団体である一般社団法人 日本照明工業会の働きかけもあり、LED電球の明るさを判断しやすくするという目的により、2011年7月以降の照明器具製品については明るさはルーメン表記で統一されています。

ルクス(単位:lx)

ダウンライト ルクス イメージ

ルクスは【照度】を表しています。

光源によって照らされる面の明るさを示すもので、1ルクス(lx)は1㎡あたり1ルーメン(lm)の光束で照らされたときの照度<となります。 つまり照らされた面積が倍になるとそれだけ光が弱まり明るさは1/2になります。

つまり、ルクスとルーメンの関係は以下で表すことができます。

ルクス(lx)= ルーメン(lm)÷ 照らされた面積(㎡)

ちなみに、ルクスを身近にイメージするために、いくつかの例を記載してみましょう。

表2.環境とルクス(照度)の値の一覧表

環 境 ルクス(lx)
屋外 晴れの日の太陽 100000
曇天昼太陽 32000
日出日入時 300
街灯下 50 ~ 100
月明り 0.5 ~ 1
屋内 ショーウインドウの重要部 2000
パチンコ店内 1000
手術室 1000
精密工作・精密実験室 1000
オフィスの事務所 750
百貨店売り場 500 ~ 700
スーパーマーケット 500
食堂・学校の教室 300
ホテルの客室 100
家の階段、廊下 50
喫茶店の客室 30

※ 上記の値については、周囲の状況等によって変化するのでご了承ください

カンデラ(単位:cd)

ダウンライト カンデラ イメージ

【光源から一定の方向に照らした時の光の強さ】

カンデラは【光度】を表しています。

カンデラは照明器具というよりもディスプレイの輝度などを表す際に用いられる単位ですが、光の単位の一つとしてここで簡単に紹介します。

カンデラは一定の方向に放射された光の角度を示し、中心光度や最大光度が使われます。

光の角度が小さければ狭い範囲を照らし、広ければ広い範囲を照らすことになります。

例を挙げると、3000カンデラ照射角30度の場合、約640ルーメンとなり、一方750カンデラ照射角60度の場合、約630ルーメンとほぼ同じとなり、照射角度が狭くなるのに伴ってカンデラも高くなります。

カンデラの数値だけでライトを選んでしまうと必要な角度が得られない可能性があります。

ワット(w)とルーメン(lm)の関係について

ダウンライト ワット ルーメン

蛍光灯・白熱電球は「ワット(w)」、LEDは「ルーメン(lm)」と、明るさの表現の仕方が異なります。

なぜなら、LEDのように消費電力の少ない照明では、消費電力を表すワット(w)表記にすると、とても小さなW数になってしまうからです。

LEDの照明ではおおまかにですが、60W相当=810lmと換算します。 つまり、はじめにお話しした「1畳あたり300〜400lm」の目安から、2畳あたり60W相当のLED照明を1台取り付ける計算になります。

一般的に、8畳には4〜6台程度を基本としています。

それ以上の設置は、天井が穴ぼこだらけになるため、あまりお勧めできません。

ただし、先に述べたように蛍光灯・白熱電球は「ワット(w)」、LEDは「ルーメン(lm)」は明るさの表現の仕方が違い、異なる物理的な量を表す単位です。

そのため、光源(白熱電球や蛍光灯など)によって同じワット数でも単純に同じルーメン(lm)数にはならないということは頭に入れておきましょう。

ダウンライトの明るさの確認方法

ダウンライト1器の光の量を確認します。

ダウンライトの「定格光束(㏐)」はカタログで確認できます。

ダウンライト カタログ

上記商品の場合には、1625ルーメン(lm)となります。

畳数別にダウンライトの必要台数をまとめました

今回は、株式会社 遠藤照明の「照明シュミレーションソフト DIALux」をもとに、6畳から12畳に設置する場合のダウンライトの設置個数を畳数別に掲載しております。

照明の明るさについては、個人の好みなどもあるので、あくまで参考として参照してください。

共通の条件ダウンライト機種:Panasonic XND1557WN-LE9(FHT32W昼白色相当品)
部屋の高さ:2.400m
施工高さ:2.477m
保守率:0.80
作業面 高さ:0.700m、グリッド:64×64点、 UGR 縦・横・左壁・下壁:23

ここから6畳~12畳の場合の結果を記載します。

各枝番については以下の順番で掲載しております。

図〇-1:測定環境のイメージ図
図〇-2:作業台0.700m上のルーメン(lm)の分布図
表□-3:ルーメン数の詳細の表

上記及び表内の記号等については、表3を参考にしてください。

表3.用語と解説

用語 解説
ρ(反射率) 反射率は、光が天井・壁・床に当たった時にに反射する量の比率で、材質や色によって変わる。本実験では、床20%、天井70%、壁50%で設定。
保守率 保守率は、光源の経年変化やほこりなどの蓄積した汚れによって光束が減少するために、予め見込んでおく係数を指す。照明器具の種類によって変わりますが、0.80~0.95の範囲で設定されることが多く、本実験では0.80で行っている。
作業面 読んで字のごとくですが、作業面は事務や食事、会議などをするテーブル、キッチンの調理台などの作業をする場所の面を指す。照明シュミレーションを行う際に人が何かをするところの照度を確認したいケースが多い。本実験では0.700mで設定。
g1 照度分布の均一さの指標である均斉度のことで、g1はある面上の「最小照度/平均照度」で表される。均斉度が大きいほど明るさが均一。
壁(X) 壁面や天井面が複数ある場合に、その面の数がXに記載される。本実験では立方体の部屋なのでX=4となっている。
特定の接続負荷 空間の総消費電力(W)を空間の面積(㎡)で割ったもの。「緑地」と表記されているのは、床面積を指します。
UGR 統一グレア評価のことで、室内照明アプリケーションにおける不快グレアの心理的尺度を指します。グレアの程度を数値で表しており、以下のような目安になっている。
 13 : 感じられる
 16 : 気になると感じ始める
 19 : 気になる
 22 : 不快であると感じ始める
 25 : 不快である
 28 : ひどすぎると感じ始める
CIE、SHR=0.25 CIEは国際照明委員会のことで、照明関連の国際的な標準化団体で照明業界における標準やガイドラインの策定を行っている。SHRは特定の光源が物体によって反射される光の中で、特定の波長領域の強さを示す比率を表す。SHRが0.25の場合、その光源が物体に反射される光のうち赤色の部分が全体の25%を示すことを意味する

6畳の和室の場合

結論:ダウンライト6個必要

図1-1.測定環境のイメージ図
ダウンライト 台数 6畳 イメージ

図1-2.作業台0.700m上のルクス(lx)の分布図
ダウンライト 台数 6畳 分布

表4-3.ルクス(lx)の分布図の詳細表

ρ[%] E平均[lx] E最小[lx] E最大[lx] g1
作業面 / 594 336 756 0.565
20 492 319 627 0.649
天井 70 109 79 122 0.729
壁(4) 50 239 91 541 /

※ 特定の接続負荷:7.16W/㎡=1.21W/㎡/100㏓(緑地:9.72㎡)

8畳の和室の場合

結論:ダウンライト8個必要

図2-1.測定環境のイメージ図
ダウンライト 台数 8畳 イメージ

図2-2.作業台0.700m上のルクス(lx)の分布図
ダウンライト 台数 8畳 分布

表5-3.ルクス(lx)の分布図の詳細表

ρ[%] E平均[lx] E最小[lx] E最大[lx] g1
作業面 / 632 352 732 0.557
20 537 344 684 0.640
天井 70 115 83 130 0.721
壁(4) 50 250 94 479 /

※ 特定の接続負荷:7.16W/㎡=1.13W/㎡/100㏓(緑地:12.96㎡)

10畳の和室の場合

結論:ダウンライト9個必要

図3-1.測定環境のイメージ図
ダウンライト 台数 10畳 イメージ

図3-2.作業台0.700m上のルクス(lx)の分布図
ダウンライト 台数 10畳 分布

表6-3.ルクス(lx)の分布図の詳細表

ρ[%] E平均[lx] E最小[lx] E最大[lx] g1
作業面 / 611 299 794 0.489
20 530 297 725 0.560
天井 70 104 76 116 0.731
壁(4) 50 220 85 470 /

※ 特定の接続負荷:6.44W/㎡=1.05W/㎡/100㏓(緑地:16.20㎡)

12畳の和室の場合

結論:ダウンライト10個必要

図4-1.測定環境のイメージ図
ダウンライト 台数 12畳 イメージ

図4-2.作業台0.700m上のルクス(lx)の分布図
ダウンライト 台数 12畳 分布

表7-3.ルクス(lx)の分布図の詳細表

ρ[%] E平均[lx] E最小[lx] E最大[lx] g1
作業面 / 594 265 848 0.447
20 520 264 722 0.507
天井 70 97 67 110 0.693
壁(4) 50 197 74 462 /

※ 特定の接続負荷:5.97W/㎡=1.01W/㎡/100㏓(緑地:19.44㎡)

上記照明シュミレーションの結果を見てみると、8畳以上の場合には、ダウンライトの個数自体は予想していたよりも少ない増加数である程度の明るさを確保できることがわかりました。

もともとルクスそのものは床面の明るさを示す数値として120年以上前にに作られたものと言われています。

また、空間の明るさは床だけはなく照明の数、位置、方向、そして、壁の色や材質によっても変化します。

照明を壁つ当てるように設計すると明るさは高まるなど、どこに光を当てるかでもその印象は大きく変わります。

人が空間を見た時の印象が明るく感じられるように配灯設計する必要があることがわかります。

※ 本実験ではFHT32Wで算出しましたが、ダウンライトのルーメン(lm)値で台数が異なります。
(照明設計アプリケーションソフト ルミナスプランナー等でシュミレーションが可能です)

ダウンライト設置時の注意点

この記事での照明シュミレーションでは広さの違う和室を例としていますが、ダウンライトを設置するのにおすすめな場所もあります。

以下の記事も参考にしてみてください。

⇒ ダウンライトを設置するのにおすすめな場所

また、ダウンライトの注意点についても、以下の記事に記載をしてますので、併せて参考にしてみてください。

⇒ ダウンライトの注意点

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※ 各メーカーに進みダウンライトを選択してご覧ください。

まとめ

本記事のポイントをまとめます。

ポイントダウンライトの明るさ目安と必要台数のポイント
 ① 1畳あたり300~500lmの明るさが必要
 ② 灯りの単位を理解すると設計しやすくなる
 ③ 和室6畳~12畳では単純に広さで必要なダウンライト数が増えるわけではない
 ④ ダウンライトの必要数は作業面での明るさを基準にするとよい
 ⑤ ダウンライトを設置する環境によって必要な数は変わってくる
 ⑥ 壁や床の色や材質によっても明るさの印象は変化する
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