この記事では、ビジネスホン(ビジネスフォン)の歴史についてできるだけわかりやすく解説します。
近年オフィスではビジネスホン(ビジネスフォン)を利用している会社が当たり前になっています。
外線電話と内線電話を一つに共有する技術が生まれ、また、最近ではスマホの普及により外出先の営業マンなどへも転送できるなど、その技術はとどまる所を知りません。
この記事ではそんなビジネスホン(ビジネスフォン)が時代毎にどのように進化していったのかを振り返りながらその歴史について紹介します。
ビジネスホン(ビジネスフォン)の成り立ちとその歴史
ビジネスホン(ビジネスフォン)にはさまざまな特徴がありますが、もっとも特徴的な機能は、主装置を繋ぐことで、外線機能と内線機能を一つのシステムで利用できる点です。
日本では今から130年以上前の1890年に東京と横浜を結ぶ電話サービスが開始されました。
当時は電話したい相手に交換手で手動で繋いでもらうという仕組みにより外線電話として発展してきました。
また、産業の発展により企業内通話の必要性が生まれ、電話料金がかからないというメリットも功を奏し、内線電話も多く利用されてきました。
そんな外線電話と内線電話が通信技術の発展により、内線電話の主装置に公衆回線が接続されて、外線電話としての機能を併せ持つ電話機としてビジネスホン(ビジネスフォン)が生まれました。
年代別の特徴
では、具体的に各年代毎にその進化の特徴を辿ってまいりましょう。
1950年代~1970年代
通信の発達の必要性もあり、企業間で急速に内線電話が普及しました。
内線電話は別名「私設電話」とも呼ばれ、有線電気通信法では電気通信事業者以外が設置するものを指します。
そして、自動交換機に採用された「ステップバイステップ」と呼ばれる方式が導入され、外線電話と内線電話との接続が可能となりました。
もともとは手動交換機(発信者と着信者との間に交換手を介する方式)だったものから機械が接続する自動交換機に切り替えられたタイミングで日本でも採用された交換機のことです。
発信電話機のダイヤルから送られるダイヤルパスによって交換機内の選択機が上昇回転をして電話回線を自動的に選択し必要な相手に接続されます。
ダイヤル数字の1桁ごとに10進法に従い順次に動作する選択機を数段組み合わせて選択を行うことから通称段段式とも言われていました。
そして、内線電話内もこれまでの交換手による手動での切り替えから自動に切り替わることになります。
さらに、内線から外線の発信が自動で可能になる「クロスバー交換機」と呼ばれる方式が導入されます。
クロスバー交換機とは、格子状に張り巡らされた金属の棒が交差するように配置され、電話がかけられると電話番号の情報から各バーに付属している電磁石の磁力によって縦と横のバーが接触することで通信したい相手につながる仕組みを持った交換機です。
この方式は「ステップバイステップ交換機」よりも耐久性に優れ、雑音も少ない点で優れています。
さらに。外線電話から交換手を通さずに内線電話へ着信する「ダイヤルインサービス」が開始されたのもこの時代です。
ダイヤルインサービスは、電話加入者の敷地から電話局までをつなぐ電話線である加入者線に電話番号を追加し、電話通信事業者(NTTなど)の電話交換機から着信先の加入者線に着信番号情報を送る電話の付加サービスです。
この電話情報によって特定の内線に着信させることが可能になります。
1980年代
この時期にビジネスホン(ビジネスフォン)は大きな進化を遂げ、利用できる機能も急速に増えてきます。
それを推進したのが、1988年にNTTが開始した「ISDN回線サービス」です。
ISDNは『Integrated Services Digital Network』の頭文字をとった用語で、日本語でいうと『サービス総合デジタル網』などと訳されます。
アナログ電話回線を使ったデジタル通信網であるISDN回線は、1つの電話回線契約で電話回線2つ分の働きをすることから電話とFAX、データ通信を同時利用できるため、特に企業で積極的に利用されてきました。
まさに、この時期より電話機能が電子化・デジタル化された流れに乗って、現在の多くの企業に見られる多機能型のビジネスホン(ビジネスフォン)が確立されていったわけです。
1990年代
1990年代の前半になるとインターネットサービスが日本においても普及してきます。
特に、Microsoftが発売したWindows95は、インターネットが一般に普及する大きなきっかけとなったとも言われています。
当初はダイヤルアップ接続でしたが、2000年にはアナログ回線を使用した「ADSLサービス」が始まりインターネット環境は著しく向上します。
「ADSL」とは、『Asymmetric Digital Subscriber Line』(非対称ディジタル加入者線)の略です。
通常使用されているメタルの電話回線で電話では利用しない周波数を利用して高速なデータ通信を可能にするサービスを指します。
ADSLはISDNと異なりデジタル回線ではなくアナログ回線ですが、より高速通信が可能で、工事も不要で2000年代に入り急速に普及しました。
そして、数年後にはインタネット回線を利用して通話のできる「IP電話サービス」も始まります。
IP電話は、インターネット回線を利用して通話する電話で、アナログ電話とは通話の仕組みが違うため以下のような違いがあります。
① 料金の違い
アナログ回線では通話相手との距離が遠くなるほど通話料金が高くなりますが、IP電話では距離に応じて通話料金は変わりません。
② 通話品質の違い
アナログ電話は通話専用の回線を使用しているので、音質が安定しています。一方、IP電話ではサービスや条件では高品質での通話が可能ですが、回線での障害が起こると通話が途切れたりつながらなくなる可能性があります。
③ 電話番号の違い
アナログ回線では市外局番で始まり、地域によって決まっています。IP電話では050で始まる電話番号が付与されます。
これらの通信技術の発展は、ビジネスホン(ビジネスフォン)へも大きな影響を与えます。
各メーカーは、デジタル通信網であるISDN回線に対応した新しい機種が販売され、ビジネスにおいての通信サービスの利便性は大きく向上し、企業内のサービスとしてビジネスホン(ビジネスフォン)が定着した時代となります。
2000年代(前半)
ADSL技術は通信業界に革新をもたらしましたが、新たに光ファイバーが登場し、「ひかり電話」が誕生しました。
ひかり電話とは、インターネットの接続に使用されている光ファイバーという線を使用した電話のことを指します。
従来の銅線を使用したアナログ回線では遠方になるほど通話の際に雑音が大きくなるという問題がありましたが、ひかり電話は音声信号をデジタル信号に変換して光の速度で送るので、雑音が少なく明瞭な音声での通話が可能になりました。
ただし、ひかり電話が登場した当初は、通信の品質が悪く、企業が利用できるサービスのレベルでなかったため、ひかり電話を使ったビジネスホン(ビジネスフォン)の導入はなかなか進みませんでした。
そのため当初NTTは、ひかり電話の信号をアナログ信号とデジタル信号に変更する機種を開発して『ひかり電話アダプター』として販売しました。
やがて技術躍進とともにひかり電話の通話品質も向上し、アダプターを使用しないひかり回線ユニットの提供がスタートし、
ひかり電話に対応したユニットであるNTTの「GXシリーズ」、NEC「AspireX」、日立『iA』などが登場しました。
2000年代(後半)
現在では、ビジネスホン(ビジネスフォン)を導入していることはもはや当たり前となっており、電話機能だけでなく、セキュリティ機能の高い機種、外出先の営業マンなどとスマホを使い連携を高めるサービスも登場しています。
さらに、機能だけでなくスタイリッシュなデザインにもこだわった商品などニーズに合わせたさまざまなタイプのものが登場し、今後も引き続き進化を遂げることが予想されます。
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まとめ
本記事のポイントをまとめます。
① 外線電話と内線電話を一つのシステムで利用できるようになることでビジネスホン(ビジネスフォン)が誕生した
② 1950年代~1970年代 内線電話が普及した後に外線電話と内線電話が接続可能になる
③ 1980年代 デジタル信号を利用した回線サービスが誕生する
④ 1990年代 インターネットの普及とともにADSLサービスやIP電話サービスが普及する
⑤ 2000年代 ひかり電話も登場し、現在ではビジネスホン(ビジネスフォン)導入は当たり前となり多様化している