誘導灯とは?その種類や基礎知識について解説します

防災機器

この記事では、誘導灯の種類や基礎知識についてできるだけわかりやすく解説します。

誘導灯とは、災害や停電などが起こった際、建物にいる人々が出口の場所を把握し、安全に屋外へ避難できるようにする為の照明器具です。

誘導灯にはさまざまな種類があり、その特徴や設置方法を把握して、正しい位置に必要な機能に応じた誘導灯の設置が必要とされます。

まずは、誘導灯の種類について、解説していきます。

すぐに、各メーカーの選定ページをご覧になりたい方は、下記からどうぞ

こちらの選定ページには、誘導灯(非常灯)を右向き、左向き、B級、C級などのグループごとに型番を一覧化しております。

誘導灯の種類について

誘導灯 種類

誘導灯には、避難口を示す為の避難口誘導灯、避難口がどちらの方向にあるかを示す為の通路誘導灯、映画館や、劇場などの客席に取付け、足下が見えるようにする為の客席誘導灯、階段や、傾斜路に設置し、避難時に周りを照らしたり、階数の把握ができるようにする為の階段通路誘導灯があります。

避難口誘導灯・通路誘導灯・客席誘導灯は例外を除き、24時間点灯させる必要があり、階段通路誘導灯は、屋外階段等に設置するタイプですと、日中明るい場合に点灯させないようにするセンサー付の商品もあります。

災害時や、停電などで電力の供給がストップした際も、内蔵のバッテリーや、非常電源からの電力供給で点灯を行うことができるように設計されています。

避難口誘導灯 通路誘導灯 客席誘導灯 階段通路誘導灯(踊場等の壁面取付タイプ) 階段通路誘導灯(共用廊下天井等取付タイプ)
避難口誘導灯 通路誘導灯 客席誘導灯 階段通路誘導灯
(壁付)
階段通路誘導灯
(天井付)

-誘導灯の設置基準の豆知識- ここから

消防法では、火災の際に防火の対象物にいる人を安全に避難させるために法令により設置基準が義務付けられています。

そこで、ここでは豆知識として、誘導灯の設置基準について記載してみました。

表1.誘導灯の設置基準(消防法施行令第26条、消防法施行規則第28条の3、消防予第408号(平成21年9月30日)

表内の分類については下記を参考にしてください。

誘導灯 種類 設置基準 避難口A級 避難口A級
避難口B級・BH形、またはB級BL形+点滅式
誘導灯 種類 設置基準 避難口C級 避難口C級以上
(避難の方向を示す矢印を有するものはB級以上)
誘導灯 種類 設置基準  通路A級 通路A級
通路B級・BH形
誘導灯 種類 設置基準 通路C級 通路C級以上

※ 表内の表記については以下の通り

全 部 ⇒ その建物のどの会にあっても設置
地 階 ⇒ その建物の地階部分だけに設置
11階以上 ⇒ その建物の11階以上の部分だけに設置
無窓階 ⇒ 建築物の地上階のうち避難上または、消火活動上有効な開口部を有しない階

区分 防火対象物 避難口誘導灯 通路誘導灯(室内) 通路誘導灯(廊下) 通路誘導灯(階段) 客席誘導灯 誘導標識
設置対象 当該階の床面積 設置対象 当該階の床面積 設置対象 当該階の床面積 設置対象 設置対象 設置対象
1000㎡以上 1000㎡未満 1000㎡以上 1000㎡未満 1000㎡以上 1000㎡未満
(1) 劇場、映画館、演芸場又は観覧場 全 部 全 部 全 部 全 部 全 部 全 部(ただし、誘導灯を設置したときその有効範囲内には誘導標識を設置しなくてよい。)
公会堂又は集会場
(2) キャバレー、カフェー、ナイトクラブその他これらに類するもの
遊技場又はダンスホール
注)1
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第五項に規定する性風俗関連特殊営業を営む店舗(ニ並びに(一)項イ、(四)項、(五)項イ及び(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供されているものを除く。)その他これに類するものとして総務省令で定めるもの
カラオケボックスその他遊興のための設備又は物品を個室(これに類する施設を含む。)において客に利用させる役務を提供する業務を営む店舗で総務省令で定めるもの
(3) 待合、料理店その他これらに類するもの
飲食店
(4) 百貨店、マーケツトその他の物品販売業を営む店舗又は展示場
(5) 旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの
寄宿舎、下宿又は共同住宅 地階、無窓階、地上11階以上 地階、無窓階、地上11階以上 地階、無窓階、地上11階以上 地階、無窓階、地上11階以上
(6) 次に掲げる防火対象物
(1) 次のいずれにも該当する病院(火災発生時の延焼を抑制するための消火活動を適切に実施することができる体制を有するものとして総務省令で定めるものを除く。)
(i) 診療科名中に特定診療科名(内科、整形外科、リハビリテーション科その他の総務省令で定める診療科名をいう。(2)(i)において同じ。)を有すること。
(ii) 医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第七条第二項第四号に規定する療養病床又は同項第五号に規定する一般病床を有すること。
(2) 次のいずれにも該当する診療所
(i) 診療科名中に特定診療科名を有すること。
(ii) 四人以上の患者を入院させるための施設を有すること。
(3) 病院((1)に掲げるものを除く。)、患者を入院させるための施設を有する診療所((2)に掲げるものを除く。)又は入所施設を有する助産所
(4) 患者を入院させるための施設を有しない診療所又は入所施設を有しない助産所
全 部 全 部 全 部 全 部
次に掲げる防火対象物
(1) 老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム(介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第七条第一項に規定する要介護状態区分が避難が困難な状態を示すものとして総務省令で定める区分に該当する者(以下「避難が困難な要介護者」という。)を主として入居させるものに限る。)、有料老人ホーム(避難が困難な要介護者を主として入居させるものに限る。)、介護老人保健施設、老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第五条の二第四項に規定する老人短期入所事業を行う施設、同条第五項に規定する小規模多機能型居宅介護事業を行う施設(避難が困難な要介護者を主として宿泊させるものに限る。)、同条第六項に規定する認知症対応型老人共同生活援助事業を行う施設その他これらに類するものとして総務省令で定めるもの
(2) 救護施設
(3) 乳児院
(4) 障害児入所施設
(5) 障害者支援施設(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第四条第一項に規定する障害者又は同条第二項に規定する障害児であつて、同条第四項に規定する障害支援区分が避難が困難な状態を示すものとして総務省令で定める区分に該当する者(以下「避難が困難な障害者等」という。)を主として入所させるものに限る。)又は同法第五条第八項に規定する短期入所若しくは同条第十七項に規定する共同生活援助を行う施設(避難が困難な障害者等を主として入所させるものに限る。ハ(5)において「短期入所等施設」という。)
次に掲げる防火対象物
(1) 老人デイサービスセンター、軽費老人ホーム(ロ(1)に掲げるものを除く。)、老人福祉センター、老人介護支援センター、有料老人ホーム(ロ(1)に掲げるものを除く。)、老人福祉法第五条の二第三項に規定する老人デイサービス事業を行う施設、同条第五項に規定する小規模多機能型居宅介護事業を行う施設(ロ(1)に掲げるものを除く。)その他これらに類するものとして総務省令で定めるもの
(2) 更生施設
(3) 助産施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童養護施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第六条の三第七項に規定する一時預かり事業又は同条第九項に規定する家庭的保育事業を行う施設その他これらに類するものとして総務省令で定めるもの
(4) 児童発達支援センター、児童心理治療施設又は児童福祉法第六条の二の二第二項に規定する児童発達支援若しくは同条第四項に規定する放課後等デイサービスを行う施設(児童発達支援センターを除く。)
(5) 身体障害者福祉センター、障害者支援施設(ロ(5)に掲げるものを除く。)、地域活動支援センター、福祉ホーム又は障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第五条第七項に規定する生活介護、同条第八項に規定する短期入所、同条第十二項に規定する自立訓練、同条第十三項に規定する就労移行支援、同条第十四項に規定する就労継続支援若しくは同条第十五項に規定する共同生活援助を行う施設(短期入所等施設を除く。)
幼稚園又は特別支援学校
(7) 小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、高等専門学校、大学、専修学校、各種学校その他これらに類するもの 地階、無窓階、地上11階以上 地階、無窓階、地上11階以上 地階、無窓階、地上11階以上 地階、無窓階、地上11階以上
(8) 図書館、博物館、美術館その他これらに類するもの
(9) 公衆浴場のうち、蒸気浴場、熱気浴場その他これらに類するもの 全 部 全 部 全 部 全 部
イに掲げる公衆浴場以外の公衆浴場
(10) 車両の停車場又は船舶若しくは航空機の発着場(旅客の乗降又は待合いの用に供する建築物に限る。) 地階、無窓階、地上11階以上 地階、無窓階、地上11階以上 地階、無窓階、地上11階以上 地階、無窓階、地上11階以上
(11) 神社、寺院、教会その他これらに類するもの
(12) 工場又は作業場
映画スタジオ又はテレビスタジオ
(13) 自動車車庫又は駐車場
飛行機又は回転翼航空機の格納庫
(14) 倉庫
(15) 前各項に該当しない事業場
(16) 注)2
複合用途防火対象物のうち、その一部が(一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供されているもの 全 部 全 部 全 部 全 部 (1)項の
用途部分
イに掲げる複合用途防火対象物以外の複合用途防火対象物 地階、無窓階、地上11階以上 地階、無窓階、地上11階以上 地階、無窓階、地上11階以上 地階、無窓階、地上11階以上
(16の2) 地下街 全 部 全 部 全 部 全 部 (1)項の
用途部分
(16の3) 建築物の地階((十六の二)項に掲げるものの各階を除く。)で連続して地下道に面して設けられたものと当該地下道とを合わせたもの((一)項から(四)項まで、(五)項イ、(六)項又は(九)項イに掲げる防火対象物の用途に供される部分が存するものに限る。)

※ 注1)(1)項イ、(4)項、(5)項、(9)項イに掲げる防火対象物の用途に供されるものを除く
  注2)上表は消防法に規定する防火対象物を抜粋
     (16)項イ(複合防火対象物)、(16の3)項(建築物の地階)の中で、誘導灯の設置を考える際
     (5)項イ、(6)項は避難口・通路誘導ともにC級以上が使用できる

次の避難口誘導灯及び通路誘導灯の有効範囲について解説します。

原則としては、当該誘導灯までの歩行距離が下記の(ア)又は(イ)に定める距離のうちいずれかの距離以下となる範囲とされています。

(ア)下表2の左欄に掲げる区分に応じ、同表の右欄に掲げる距離
(イ)次の式に定めるところにより算出した距離

  D = kh

   D:歩行距離(単位:m)
   h:避難口誘導灯または通路誘導灯の表示面の縦寸法(単位:m)
  
  kは下表2の左欄に掲げる区分に応じ、それぞれ同表の右欄に掲げる値

表2 避難口誘導灯及び通路誘導灯の有効範囲

区  分 距  離
避難の方向を示すシンボルのないもの 避難の方向を示すシンボルのあるもの
避 難 口 A 級 60m 40m
避 難 口 B 級 30m 20m
避 難 口 C 級 15m
通路 A級 20m
通路 B級 15m
通路 C級 10m
区  分 k の 値
避難口の誘導灯 避難の方向を示すシンボルのないもの 150
避難の方向を示すシンボルのあるもの 100
通 路 誘 導 灯 50

上記の場合において、いずれの方法によるかは、設置者の選択によります。ただし、当該誘導灯を容易に見通すことができない場合、又は識別することができない場合にあっては、当該誘導灯までの歩行距離が10m以下となる範囲となります。

※ 誘導灯の設置基準は、各法令に基づき設定されていますが、最終判断は所轄消防署になります。運用・設置等の面でのご不明な点がございましたら必ず所轄消防署にご相談ください。

-誘導灯の設置基準の豆知識- ここまで

避難口・通路誘導灯の特徴!

ここからは、上記誘導灯の中で、避難口誘導灯・通路誘導灯の特徴について、わかりやすく解説していきます。

避難口誘導灯(背景緑)・通路誘導灯(背景白)について

避難口誘導灯と通路誘導灯の見た目での大きな違いは背景色の違いです。

両者には、その役割についても違いがあります。

避難口誘導灯(背景緑)

誘導灯 種類 避難口

一般的に避難口誘導灯(背景が緑色、人が走っている絵が大きく描かれたもの)は、避難する出口のドアの上や、避難用階段のある場所に設置する機器になります。

その役割は、火災発生時に有効に避難できる出入口等であることを表示することで安全を図る目的としています。

通路誘導灯(背景白)

一方、通路誘導灯(背景が白、矢印が大きく描かれたもの)は、避難口を探す際に、避難口がどの方向にあるか指し示す為の機器となり、廊下などに設置する商品となります。

その役割は、火災時において安全に避難できるよう避難の方向を明示することで安全を図る目的があります。

避難口誘導灯及び通路誘導灯共に設置場所ついては、消防法(消防施工規則第28条の3)で規定されているので、しっかり確認が必要です。

避難口誘導灯・通路誘導灯の大きさ、区分について

誘導灯は大きさで等級が設定されており、小 Ⅽ級⇒B級(BL形⇒BH形)⇒A級 大 に分類されています。

基本的に大きな物ほど遠くからでも視認できますので、誘導灯を設置する部屋等が広いほど大きい物が必要となり、設置場所や施設の用途などによって等級が決まります。

B級には二種類あり、輝度が低いBL形 輝度が高いBH形 があります。

従来形誘導灯は現在では生産されておらず、LEDが光源のコンパクトタイプが主流となっています。

※ 既設の従来形誘導灯をお取り替えの際はコンパクトタイプの高輝度誘導灯に変更頂く必要があります。

表3 避難口誘導灯及び通路誘導灯の従来型と現行型の比較

等級 適合する誘導灯
避難口誘導灯 通路誘導灯
高輝度誘導灯 従来型誘導灯 高輝度誘導灯 従来型誘導灯

A級

40形避難口 40形 A級 大形(40Wx2タイプ)従来型避難口誘導灯 40Wx2タイプ 大形 40形通路 40形 A級 大形(40Wx2タイプ)従来型通路誘導灯 40Wx2タイプ 大形
B級 BH形 20A形避難口 20A形 B級BH形 特殊大形(40/35/32Wx1タイプ)従来型避難口誘導灯 40/35/32Wタイプ 特殊大形 20A形通路 20A形 B級BH形 特殊大形(40/35/32Wx1タイプ)従来型通路口誘導灯 40/35/32Wタイプ 特殊大形
B級 BL形 20B形避難口 20B形 B級BL形 中形(20Wx1タイプ)従来型避難口誘導灯 20Wx1タイプ 中形 20B形通路 20B形 B級BL形 中形(20Wx1タイプ)従来型通路誘導灯 20Wx1タイプ 中形
C級 10形避難口 10形 C級 小形(10Wx1タイプ)従来型避難口誘導灯 10Wx1タイプ 小形 10形通路 10形 C級 小形(10Wx1タイプ)従来型通路誘導灯 10Wx1タイプ 小形

-誘導灯の従来型から現行型への推移の豆知識- ここから

平成11年10月1日施行の消防法令で、誘導灯の表記が表示面の縦寸法を基準とする高輝度誘導灯「A級・B級・C級」の等級別に変更になりました。

従来型の誘導灯は上記表3の大形・特殊大型・中形・小形の4種類に分けられ、内蔵している照明器具が直管蛍光灯となるため、横長形状で大きなものでした。

旧式のものは、長時間の使用による蛍光灯の熱の影響を受けやすいですが、現行のA級・B級・C級はLED電球なので、熱で変色する恐れがありません

表示面の縦寸法が0.4m以上をA級、0.2m以上0.4m未満をB級、0.1m以上0.2m未満をC級に区分けされています。

以下に、誘導灯の歩みの一例として、パナソニックの商品展開と認定マーク及びその対応について掲載しておりますので、参考にして下さい。

誘導灯 種類 従来品 現行品

※ 引用元 年表:認定マークと当社商品展開

-誘導灯の従来型から現行型への推移の豆知識- ここまで

片面形・両面形について

片面形誘導灯は、壁面に取り付けたり、逆方向から見る状況が無い場合(ドアの上付近等に取り付ける等)に使用します。

図1.片面タイプの誘導灯のイメージ

誘導灯 種類 片面

両面形誘導灯は基本的に天井に取付けをして、両側の方向から見ることがある場合に使用します。

一般的にはT字路や十字路がある廊下や、廊下の途中に階段がある場合などに、両面形の誘導灯を使用します。

図2.両面タイプの誘導灯のイメージ

誘導灯 種類 両面 OK

※ 両面形誘導灯をご購入の際には、パネルの向きに注意が必要です。

図3.両面タイプの誘導灯のNGの場合のイメージ

誘導灯 種類 両面  NG

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まとめ

本記事では誘導灯の種類やタイプ、区分などの基礎知識について解説しました。

誘導灯の種類には、避難口を示す為の避難口誘導灯、避難口がどちらの方向にあるかを示す為の通路誘導灯、映画館や、劇場などの客席に取付け、足下が見えるようにする為の客席誘導灯、階段や、傾斜路に設置し、避難時に周りを照らしたり、階数の把握ができるようにする為の階段通路誘導灯があります。

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