誘導灯と誘導標識の違いとは?わかりやすく解説します!

誘導灯と誘導標識の違いサムネイル 誘導灯

この記事では、火災等で避難する際に重要な役割をする誘導灯と誘導標識について解説します。

誘導灯も誘導標識も消防法令で避難路を明示する設備等として、設置が義務付けられています。

設置する目的が同じ誘導灯と誘導標識ですが、この2つには違いがあります。

それぞれの特徴と違いを分かりやすく解説していますので、ぜひ設置の際の参考にしてください。

誘導灯と誘導標識の違いは?

誘導灯 誘導標識 違い

繰り返しになりますが、誘導灯と誘導標識の設置は、火災が起こった際に避難口の位置もしくは避難口のある方向を示し、建物の中の人を安全に屋外に避難させることを目的にしています。

ただ、誘導灯と誘導標識には大きな違いがあります。

両者の違いを簡単にまとめると表1のようになります。

表1.誘導灯の種類と特徴

種類 特徴
誘導灯 避難口誘導灯 バッテリーや照明器具が必要
通路誘導灯
誘導標識 避難口誘導標識 畜光式でバッテリーや照明器具が不要
通路誘導標識

誘導灯について

誘導灯は、内部にバッテリーを持ち、停電時に20分以上(建物によっては60分間以上)点灯し、夜間の災害時にも安全に出口に誘導できるように設置されています。

誘導灯は設置場所等によって、数種類に分類分けすることができます。

また、片面形や両面形などの種類分け、大きさによって等級が決まっています。

誘導灯の詳細については、以下の記事を参考にしてください。

 

本記事では誘導灯の基礎知識についてわかりやすく解説します。避難口誘導灯や通路誘導灯、客席誘導灯や階段通路誘導灯などの種類の紹介や誘導灯の用途・大きさ・区分についても解説します。誘導灯に詳しくなりたい方、誘導灯をお探しの方は本記事をご覧ください。

 

また、誘導灯は、誘導標識と違ってバッテリーや照明器具を保有しているため、かならず交換が必要になります。

寿命が来ているのに、気が付かずに使用を続けていると、いざ火災等に遭遇した際に本来の機能を発揮できず、大きなトラブルになることもありますので、注意が必要です。

誘導灯の交換時期については、以下の記事を参考にしてください。

 

本記事では誘導灯の交換時期を解説しています。また、交換するときの注意点や交換時期の目安と判断基準についても解説しています。誘導灯の交換に悩んでいる方や誘導灯の知識をつけたい方は本記事をご覧ください。

 

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誘導標識について

続いて、誘導標識について、その種類と設置場所について解説します。

誘導標識の種類

誘導標識には、避難口であることを示す「避難口誘導標識」と、避難口の方向を示す「通路誘導標識」の2種類があります。

また、誘導標識は基本的には緑を基調としていますが、緑をベースに白抜きしたタイプ「避難誘導標識」と逆に白をベースに緑抜したタイプ「通路誘導標識」に分けられます。

設置場所

では、誘導標識は建物内のどこに設置するかが気になりますね。

もちろん、どこに設置しても良いわけではなく、消防庁長官が定める条件に従って、適切な位置に設置する必要があります。

その設置場所は、上記の「避難口誘導標識」「通路誘導標識」によって、変わってきます。

また、両方に共通する条件として、光を蓄えるために必要な照度を得られる場所であることと、誘導標識と似ていて紛らわしい掲示物や誘導標識を遮る広告物などがない場所であることも条件に含まれます。

避難口誘導標識

誘導標識 避難 緑地に白抜き

避難口誘導標識は、避難口の上部、または避難口の直近の場所に設置します。

小規模な路面店などに建屋の一番奥からの避難口までの歩行での距離が30m以下の場合には、この避難口誘導標識の設置のみで問題ありません。

通路誘導標識

誘導標識 通路 白地に緑抜き

通路誘導標識は、廊下や通路の各部分から誘導標識までの歩行での距離が、7.5m以下になる場所や曲がり角において、床からの距離が約1m以下の場所に設置をします。

また、階段や傾斜地に設置をする場合には、避難する方向を示す必要がある場所に設置するようにします。

畜光式誘導標識の区分

誘導灯 誘導標識 区分

畜光とは聞きなれない言葉ですが、その特徴は読んで字のごとく光を蓄える性質を持っていることです。

太陽光や蛍光灯などからの光を吸収し、暗いところでその光を放出することで光源やバッテリーなどを使用しなくても、発光することが可能となります。

その性質を利用したのものが畜光式誘導標識です。

また、光を放出すると徐々に光を発光する効力が失われていきますが、また、本体に光が当たることで機能を回復します。

畜光式誘導標識は消防法施行規則の改正によって、小売店や飲食店、事務所、倉庫など小規模小売店舗などで誘導灯の代わりに設置することができるようになりました。

この畜光式誘導標識にも基準が設けられています。

その基準とは、蛍光灯で20分間光を畜光式誘導標識に照射した後の平均の輝度によって、2種類に分類されています。

20分経過した際の表示面の平均輝度が24mcd/㎡以上であれば中輝度100mcd/㎡以上であれば高輝度に分類されます。

さらに、この高輝度畜光誘導標識は9つに細かく分類されています。

ここでいう「高輝度蓄光式誘導標識」は環境にやさしく経費の削減が図れます。

また、電気や配線を使わないので、一灯あたりの維持費が0円になるというメリットもあります。

畜光式標識の区分については、以下の表を参考にしてください。

表2.畜光誘導標識の区分について

標識区分 設置目安 励起照度 20分後表示面輝度 60分後表示輝度
(推奨)(lx) (mcd/mm2)
S50級 50ルクス未満 50 128以上 38以上
S100級 100 200 60
S200級 200 250 75
A50級 50ルクス~ 50 100 30
A100級 100 150 45
A200級 200 200 60
B100級 100ルクス~ 100 100 30
B200級 200 150 45
C200級 200ルクス~ 200 100 30
中輝度 自主的な安全対策 200 24以上~100未満 7

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誘導灯や誘導標識の設置は消防法で定められている

誘導灯 誘導標識 消防庁

誘導灯・誘導標識は「消防法施行令第26条」と各地方自治体の火災予防条例などによって、百貨店・病院・劇場など不特定多数の人が多く集まる場所に設置することが義務付けられています。

一方で、工場や倉庫、事務所なども上記の施設と比較すると比較的規制は緩やかですが、誘導灯の設置は免れません。

ただ、見た目(外観)を損ねること、コストがかかることなどの点から、誘導灯はあまり好まれないという傾向があります。

実は、誘導標識は、照明設備と同じ場所に設置することで誘導灯の設置が免除されるため、畜光式誘導標識が好まれるケースも見受けられます。

誘導灯の代わりとしての誘導標識

通常は誘導灯を設置しますが、一定条件を満たす施設において、誘導標識が誘導灯の代わりとして使用することができるようになりました。

※ 消防予第177号畜光式誘導標識等に係る運用について(通知)平成22年4月9日

上記通知は、消防庁予防課長より、各都道府県消防主管部長 及び 東京消防庁・政令指定都市消防長 宛に出されたものです。

(注意)

実際の設置に関しては、自治体の消防署により見解が異なる可能性があるため、必ず所轄の消防署にご相談してください。

上記通知によると、設備の大きさや業態によって、3つの形態に分けることができます。

以下に3つに該当する設備、及びその要件等を記載しますので、誘導灯に代わる誘導標識の設置の際に参考にしてください。

小規模な路面店等の場合

対象設備:コンビニ・薬局・診療所・レストラン・事務所等

以下の条件を満たす場合、誘導灯の代わりに「高輝度畜光式誘導標識」の設置が可能です。

屋内から直接地上に出る出入口があること

各部分から避難口までの歩行距離が30m以下で見通しが良いこと

「高輝度畜光式誘導標識」が消防庁長官の定めるところにより設置されていること


【消防庁長官の定めるところとは】
1)蓄光式誘導標識は、高輝度蓄光式誘導標識とすること。
2)避難口の上部又はその直近の避難上有効な箇所に設けること。
3)性能を保持するために必要な照度が採光又は照明により確保されている箇所に設けること。
4)蓄光式誘導標識の周囲には、蓄光式誘導標識とまぎらわしい又は蓄光式誘導標識を遮る広告物、掲示物等を設けないこと。

上記引用元:誘導灯及び誘導標識の基準

図1.小規模な路面店等(避難が容易な居室における誘導灯等の免除関係)

・単独建屋の場合のイメージ図
誘導灯 誘導標識 小規模 単独

・防火対象物の一部に居室が該当する場合のイメージ図
誘導灯 誘導標識 小規模 一部
画像引用元:蓄光式誘導標識等に係る運用について(通知)

個室型遊興店舗の場合

対象設備:カラオケボックス・インターネットカフェ・個室のビデオ店等

以下の条件を満たす場合、誘導灯の代わりに「高輝度畜光式誘導標識」の設置が可能です。

個室型遊興店舗等の廊下及び通路の床面又はその直近の避難上有効な箇所に通路誘導灯の設置が必要となったが、消防庁長官の定めるところにより、床面又はその直近の箇所に「高輝度畜光式誘導標識」を設置した場合は、通路誘導灯の設置が免除される


【消防庁長官の定めるところとは】
1)蓄光式誘導標識は、高輝度蓄光式誘導標識とすること。
2)床面又はその直近の箇所に設けること。(床面からの高さが約1m以下の避難上有効な箇所)
3)廊下及び通路の各部分から1)の蓄光式誘導標識までの歩行距離が7.5メートル以下となる箇所及び曲がり角に設けること。
4)性能を保持するために必要な照度が採光又は照明により確保されている箇所に設けること。
5)蓄光式誘導標識の周囲には、蓄光式誘導標識とまぎらわしい又は蓄光式誘導標識を遮る広告物、掲示物等を設けないこと。

上記引用元:誘導灯及び誘導標識の基準

また一定の条件を満たすケースでは、照度不足でも代替が可能です。

参考元:消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号)第28条の3第4項第3号の2ただし書

抜粋:「ただし、光を発する帯状の標示を設けることその他の方法によりこれと同等以上の避難安全性が確保されている場合にあっては、この限りでない。」

図2.個室型遊興店舗(通路上の煙の滞留を想定した床面等への誘導表示関係)

・通路誘導灯の補完イメージ図
誘導灯 誘導標識 個室 補完

・通路誘導灯の照度不足の補完のイメージ図
誘導灯 誘導標識 個室 補完 帯 
画像引用元:蓄光式誘導標識等に係る運用について(通知)

大規模・高層の防火対象物等の場合

対象設備:地下鉄駅舎・大規模建築物・高層ビル・地下街等

以下の条件を満たす場合、誘導灯の代わりに「高輝度畜光式誘導標識」の設置が可能です。

誘導灯が60分間の非常電源の確保を必要とするように防火対象物の条件が拡大されたが、消防庁長官の定めるところにより畜光式誘導標識」を設置されている通路誘導灯は20分間の非常電源で可とする


【消防庁長官の定めるところとは】
1)延べ面積5,000平方メートル以上
2)地階を除く階数が15階以上であり、かつ、延べ面積30,000平方メートル以上
3)地下街において、延べ面積1,000平方メートル以上
4)乗降場が地階にあり、かつ、消防長(消防本部を置かない市町村においては、市町村長)又は消防署長が避難上必要があると認めて指定したもの

上記引用元:誘導灯及び誘導標識の基準

また一定の条件を満たすケースでは、照度不足 及び 階段灯の踏み面の端部の位置を表示した場合でも代替が可能です。

参考元1:消防法施行規則(昭和三十六年自治省令第六号)第28条の3第4項第3号の2ただし書

抜粋:「ただし、光を発する帯状の標示を設けることその他の方法によりこれと同等以上の避難安全性が確保されている場合にあっては、この限りでない。」

参考元2:蓄光式誘導標識等に係る運用について(通知)

抜粋:「階段(特に、避難時に下り方向で用いられるもの)においては、転倒、転落等を防止するため、踏面端部の位置等を示すように、光を発する帯状の標示等を設けることが適当である」

・大規模、高層対象物の場合のイメージ図
誘導灯 誘導標識 高層ビル 設置

・地下駅舎の場合
誘導灯 誘導標識 地下駅舎 イメージ
画像引用元:蓄光式誘導標識等に係る運用について(通知)

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さらに、誘導灯については、各メーカー毎に選定・販売ページも参考にしてください。

⇒ 東芝ライテック誘導灯の選定・販売ページ

⇒ 三菱電機(MITSUBISHI)誘導灯の選定・販売ページ

⇒ パナソニック(Panasonic)誘導灯の選定・販売ページ

併せて、誘導灯を質問形式で選定できるページもありますので、ご利用ください。

⇒ 一般型 直付誘導灯選定チャート(簡易タイプ)

まとめ

最後に本記事のポイントをまとめます。

ポイント誘導灯と誘導標識には違いがある。
誘導灯と誘導標識は消防法で義務付けされている。
誘導灯はバッテリーや照明器具が必要でコストがかかる。
誘導標識は畜光式がコスト面等で好まれる。
特定の条件下で誘導灯を誘導標識に置き換えられる
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