【プロが解説】分電盤と配電盤の違いを分かりやすく解説します

分電盤と配電盤の違いを分かりやすく説明します。 住宅分電盤
分電盤、配電盤(キュービクル)、違い

この記事では、分電盤と配電盤の違いについてできるだけわかりやすく解説します。
この二つは名前が似ているため混同してしまいがちですが、分電盤配電盤は、まったくの別物なんです。

そんな分電盤と配電盤について、その役割や使われる場面などを紹介していきながら解説をしていきたいと思います。

分電盤と配電盤の違いとは?

いずれも電気を安全で快適に使用するための設備ですが、この配電盤と分電盤、その役割など大きな違いがあります。

分電盤と配電盤の詳細に入る前に、ざっくりと両者のイメージを図1にイラストで掲載してみました。

図1.分電盤と配電盤のイメージ

分電盤 配電盤 違い イメージ

分電盤 配電盤 違い イメージ

電気にはより高い電圧で送電をした方が、送電の際に発生する抵抗などのロスが減少する性質があります。

この高い電圧を直接家庭などで使う電気機器に使用することはできないため、適正な電圧に変換する必要があり、その役割を果たしているのが配電盤です。

一方で、変換された電気を家庭内などの各電気機器に分配する役割を果たしているのが分電盤です。

分電盤とは?

分電盤 配電盤 違い

ここでは、分電盤の特徴、仕組み、構造について解説していきます。

分電盤の特徴

分電盤には、大きく以下の3つの役割があり、配電盤にはない特徴です。

  • 家庭内(屋内)の配線へ各機器等に電気を分ける
  • 漏電を検出して、すぐに遮断する(通電を停止)
  • 電気の使いすぎを感知し限界を超えるとすばやく電気を止める

分電盤は一般の家庭にも設置されており、マンションの場合には、玄関や洗面所など目につくところに設置されていることもあるので見たことがある人も多い装置です。

分電盤の仕組み

分電盤の中には、サービスブレーカ、漏電ブレーカ、安全ブレーカなどがあり、電気容量のチェックや屋内の配線の安全を確保する役目を果たしています。

分電盤は配電盤で変圧された電気を適正に各部屋などの電気機器に配分する役割を担い、漏電などのチェック機能も兼ね備えています。

分電盤の構造

分電盤は樹脂や金属で作られており、その中にブレーカなどの必要な機器が収納されています。

マンションで見られるように壁面に据え付けられたり、埋め込まれていることがほとんどで施工時に設置されています。

ちなみに、分電盤や内部のブレーカなどの設置には資格(電気工事士)が必要です。

無資格で工事などを行い火災や事故が発生した場合には、罰則が設けられているので注意しましょう。

分電盤の設置等に関しては以下の記事もぜひ参考にしてください。

内線規程をもとに分電盤の設置基準を解説します【設置場所の疑問に回答】
本記事では分電盤の設置基準を解説します。また、内線規程における分電盤の設置基準をもとに、設置場所のポイントも解説しています。分電盤の設置基準を知りたい方や分電盤をお探しの方は本記事をご覧ください。

配電盤とは?

分電盤 配電盤 違い

最初にも述べた通り、電気にはより高い電圧で送電をした方が、送電の際に発生する抵抗などのロスが減少する性質があります。

ただし、そのような高い電圧では、安全性の面等で住宅やビルなどで使用することができません。

そのために使用される設備が配電盤です。

電気の豆知識

電気は各発電所で作られた後にいろいろな設備等を通して、最終的に住宅やビルなどで使用できる電気へ変換されていきます。

送電に関する施設を以下に列挙していきます。

発電所

ご存じのように発電所は電気以外のエネルギーによって電気エネルギーに変換して使用できるようにする施設を指します

電気以外のエネルギーの種類により、火力、水力、原子力などが挙げれらます。

他には太陽光・風力・地熱などがあり再生可能エネルギーとして注目されています。

変電所

変電所には、超高圧変電所、一次・二次変電所などがあります。

発電所で作られた電気をより少ないロスで効率的に送るために電圧をコントロール、また電気の届け先を振り分ける役割も持っています。

柱状変圧器

電柱の上部の方に設置されている目視で見ることもできる円筒型の灰色の設備を柱状変圧器と呼びます。

変電所から送られてきた高電圧の電気を一般住宅や小規模の工場などに100V又は200Vまで電圧を変換するために設置されています。

上記のイメージとしては、図2を参照して下さい。

図2.送電の各電圧とその流れ

分電盤 配電盤 違い 流れ

<補足> 
図の中で、柱状変圧器(トランス)から各住宅へ送電される際はトランスで6600Vから100/220Vに変圧されます。
一方、柱状変圧器からコンビニなどの配電盤に送電される際には、トランスでは変圧されずに、6600Vのまま配電盤に送られ、配電盤で変圧されます。
 

配電盤の特徴

上記の豆知識からもわかるように配電盤は、高電圧で送電された電気を適正な電圧に下げて、分電盤へと電気を配る役割を担っています。

高い電圧の電気を受けるため、特にその安全性が求められます。

配電盤の二つの構造

配電盤は大きく二つの構造に分けられています。

閉鎖型(キュービクル)

金属のケースに変圧や送電のための機器が収納されているタイプのものです。

学校やビル、身近なところではコンビニなどの高圧受電契約をしている施設などに使用されています。

密閉されているので安全性も確保されています。

開放型

鉄製などのフレームに送電に必要な機器類が取り付けられているタイプで、昔はよく使われていましたが、保守性や安全性の面、また、現場での施工期間が閉鎖型(キュービクル)よりも時間がかかることもあり減少しています。

分電盤は一般家庭に多く設置

分電盤は、マンションや戸建てなどのほぼすべての建物に設置されて、各部屋に電気を分配しています。

また、漏電などのリスクを予防するための安全を確保する装置でもあります。

また、ある程度の規模のビルなどには分電盤と配電盤の両方を設置することも多いので、その役割の違いをきちんと認識しておきましょう。

配電盤は大型施設に設置

これまで解説してきたように配電盤は、電力会社から送られてきた電力を受け取る装置です。

通常配電盤は一般住宅には設置されることはなく、ビルや学校、工場などある程度の規模の施設に設置されます。

そして、これらの大きな建物の場合には、電力会社と高圧受電契約をしています。

一方で一般家庭の場合には、その大部分が低圧受電契約であるため、配電盤を設置する必要がありませんので、設置しているところはほとんどありません。

電力料金単価に関しては、一般的には低圧受電契約の方が高圧受電契約と比較して割高になります。

表1に契約電力の目安と適している施設を記載しておきます。

表1.契約電力の目安と適している施設について

項目 低圧 高圧小口 高圧大口 特別高圧
契約電力の目安 ~ 50kw 50 ~ 500kw 500 ~ 2,000kw 2,000kw ~
利用施設の例 一般住宅・店舗 中小規模の工場やビル 大規模工場やビル

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必見!分電盤(パナソニック)の品番の見方と選定方法について

まとめ

本記事のポイントをまとめます。

ポイント分電盤と配電盤の違いのポイント
 ① 分電盤と配電盤は似て非なるもの
 ② 電気の流れは配電盤から分電盤に流れ各機器に分配される
 ③ 分電盤の役割は電気を分けることと遮断すること
 ④ 配電盤の役割は送電の際に発生する抵抗などのロスを減少すること
 ⑤ 分電盤は一般家庭に、配電盤は大型施設に使用される
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