本記事では分電盤の寿命・耐用年数を解説します。
一般的に分電盤の寿命は15年程度とされています。
古い分電盤を使い続けると過負荷やショートが発生してもブレーカーが動作せず、大きな事故につながりかねません。
分電盤の寿命・耐用年数を知りたい方、管理する建物の分電盤が古くなって交換を検討されている方は本記事をご覧ください。
分電盤とは?
分電盤とは何か?そして、どのような役割を果たしているのかなどをできるだけわかりやすく解説していきます。
分電盤とは何か?
分電盤とは、配線用遮断器や漏電遮断器などの各種のブレーカの制御装置を収納した、金属やプラスティック製の収納箱のことを指します。
ブレーカに関する詳細については以下の記事を参考にしてください。
分電盤の役割
上記のブレーカの記事内にも記載されている通り、電気を使いすぎた時に『ブレーカが落ちる』という現象が起きた場合、分電盤内のブレーカにより電路が遮断されます。
また、ケーブルの損傷によるショートなどで電路を遮断する際にも、この分電盤内に設置されたブレーカにより適切に処理され、トラブルを防止します。
他にも、電線に許容以上の電流が流れないように保護するための配線用遮断器、漏電が発生した電路を自動で遮断する漏電遮断器なども分電盤内に設置することが可能です。
分電盤は、これらの各ブレーカ等を一つの箱の中にまとめて、ひとつの建物の中で各部屋に電気を分配する役割を果たしており、分電盤があるおかげで、各部屋で電化製品を適切に使用することができます。
分電盤の一例
分電盤には、家中の電化製品やコンセントの配線が集まっており、電気を使いすぎたり、配線がショートして漏電した場合に、下図のようなイメージでブレーカが落ちる仕組みになっています。
例えば図1のように、キッチンで同時に電気を使いすぎた場合、図2のように、キッチンに分岐したブレーカがONからOFFになります。(つまりブレーカが落ちる)
図1.キッチンで同時に電気を使用
↓ 電気の使用量が限界を超えると、図2のようにブレーカが落ちる
図2.分電盤のブレーカーが落ちるイメージ図
注)図では、自動的にONに戻っていますが、実際にはブレーカを落ちた原因を取り除き、手動でONにする必要があります。
分電盤の構造
分電盤には、一般の住宅用の分電盤とビルなどの施設用の分電盤がありますが、ここで主に住宅用分電盤(ホーム分電盤とも呼ばれている)について、解説を進めていきます。
基本的には電柱から配線された主幹ブレーカとそれを各部屋や各電気機器に分ける分岐ブレーカが設置されています。
また、下記表のように主幹容量や分岐ブレーカの個数、リミッタースペース、蓋の有り無しなどその目的によって分類されます。
表1.分電盤の分類(パナソニック製の例)
項 目 | 分 類 |
---|---|
主幹容量 | 30A ~ 100A |
回路数 | 3 ~ 42(回路スペース +1 ~ +3) |
形 状 | ドア あり・なし |
リミッタースペース | あり・なし |
フリースペース | あり・なし |
分電盤・ブレーカーによるトラブル
分電盤やブレーカの不具合によって、過負荷やショートが発生してもブレーカーが動作せず、大きな事故につながりかねません。
分電盤そのものは、屋内の設置であれば、錆や傷の補修していれば、箱体は40年から60年は使用が可能です。
トラブルの原因の一つ目は、内蔵している設備毎に寿命が決まっており、正しく動作しない場合、火災等の大きな事故につながりかねません。
もう一つ原因は、分電盤及びブレーカの物理的な劣化だけではなく、分電盤の性能の陳腐化による機能の劣化が挙げられます。
せっかく取り付ける設備等(ブレーカー等)の機能の安全性が高まっても、既存設備(箱体)がその機能についていけなければ、箱体そのものの交換も必要となるのは言うまでもありません。
もし、取り扱おうとしている分電盤が以下のように古く、主幹ブレーカが付いていなかったりすると、漏電が起こっていても検知することができず、漏電事故を起こす可能性があり大変危険です。
図2.主幹がブレーカが付いていない配線
図3.分電盤からの出火した火災の例
※ 引用元 枚方寝屋川消防組合 火災事例 分電盤に起因する火災(https://hnfd119.jp/media/kasaijirei036.pdf)
分電盤・ブレーカの寿命・耐用年数は?
上記でも述べている通り、分電盤そのものはしっかりとメンテナンスをすれば、40~60年近くは使用が可能でありますが、内部に設置されている設備(ブレーカ等)にはそれぞれに対して法定耐用年数が決められています。
また、内部に設置されている設備は、時代の流れに合わせる形で、例えば大地震に備える震感ブレーカが登場するなど、分電盤そのものの劣化が進んでいなくとも、分電盤を交換する必要も生じてきます。
また、ブレーカの耐用年数は10~15年であることから、設置してからの期間など機器の状態に合わせて交換しなければなりません。
ちなみに、分電盤に設置してい各設備の耐用年数と役割は下表のとおりです。
表2.分電盤内の設置の役割と耐用年数
種 類 | 役 割 | 耐用年数 |
---|---|---|
リミッター(サービスブレーカ) | 電力会社との契約に基づくブレーカで契約電量を超えると遮断される | 10~15年 |
主幹ブレーカ(漏電ブレーカ) | 漏電が発生、また、分岐ブレーカに流れている電流の和が規定の値を超えると遮断される | 10~15年 |
分岐ブレーカ(過電流遮断器) | 部屋等に分岐し一定以上の負荷がかかった時に遮断される | 10~15年 |
感震ブレーカ | 震度5以上の地震を感じたら回路を遮断する | 10~15年 |
耐用年数が近づいてきたら、ブレーカ及び分電盤の買い替えを検討しましょう。
当サイトの選定表で目当ての分電盤を探しましょう。
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古い分電盤を使い続けるのは危険
古い分電盤を使い続けるとこんなリスクがあります。
・漏電による火災
・冷蔵庫などの家電の故障
・分電盤内の一時側電線の断線による停電
古い分電盤を交換するサイン
分電盤を使い続けると上記のようなリスクがありますが、事前にトラブルにつながる予兆を見つけることはできないでしょうか。
分電盤を交換した方が良い場合の予兆(サイン)について、いくつか列挙しておきますので、設置から10~15年を経過している場合には
チェックしてみて下さい。
・分電盤の表面が熱くなっている。
・分電盤の表面が変色し焦げている。
・分電盤から「ジジジ」「ジージー」などの異音がする。
・分電盤がひび割れをしたり形が変わっている。
・室内の照明が明るくなったり、暗くなったり不安定。
・テレビの画面が乱れることが多くなっている。
・電気器具を手で触るとピリピリする。
・分電盤にもともと漏電遮断器が付いていない。
・フタがあっても割れてホコリや虫が入る可能性が高い。
分電盤に設置している各ブレーカが古くなってしまうと、過負荷やショートが発生してもブレーカーが動作せず、大きな事故につながりかねません。
上記のような予兆(サイン)がある場合、たとえ耐用年数に満たなくとも早めに買い替えを検討しましょう。
最新の分電盤は、安全性が高く漏電や過電流への対応が早いので、古いタイプの分電盤を使用している場合も最新のモデルへの交換をおすすめします。
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まとめ
では、最後に本記事のポイントをまとめます。
分電盤に設置された各ブレーカにより安全に回路を遮断する。
分電盤には主幹容量、回路数、形状等の違いがある。
分電盤の寿命は40~60年近くあるが、ブレーカは10~15年。
古い分電盤(ブレーカを含む)を使い続けるのは危険。
ブレーカが落ちやすくなったり異音や熱など交換する予兆がある。
分電盤やブレーカで交換に際は、弊社オンラインショップをぜひご利用ください。