【プロが解説】分電盤のリミッタースペースとは?

分電盤のリミッタースペースとは? 住宅分電盤
分電盤 リミッタースペース

この記事では、分電盤のリミッタースペースについて、できるだけわかりやすく解説します。

分電盤のリミッタースペースとは?

リミッタースペースは、電力会社によって、契約時にアンペアブレーカをホーム分電盤に設置する必要があるときに、取り付けるスペースのことを指します。

そして、この際に使用するアンペアブレーカは電力会社より供給されるもので、家庭の電気使用量を制限する目的に使われます。

電力会社からアンペアブレーカを供給される地区の場合、ブレーカを購入する際にリミッタースペース付きの分電盤の購入が必要となります。

※ ただし、この後解説するように、現在はどの電力会社でもスマートメーターが設置されつつあり、リミッターが不要になってきています。

上記を前提として、リミッタースペース付きとリミッタースペースなしの分電盤の構造の違いを見てみましょう。

図1.分電盤のリミッタースペースの有り無しのイメージ

分電盤 リミッタースペース 有り無し

図1のようにリミッタースペース付の場合、リミッターを設置するスペースが確保されています。

繰り返しになりますが、リミッターとは家庭全体の電気使用量を制限するのが目的で取り付けられるブレーカで電力会社から供給されます。

リミッターは、家庭内やその電気を使用される家屋等の中で、もともと契約された容量以上の電気を使った場合に遮断する仕組みに利用されています。

日本国内にはリミッタースペースありの地域と必要のない地域があります。

リミッタースペースありの地域では【需要率】を配慮したリミッター(アンペアブレーカ)契約がおすすめです。

【需要率とは】

「需要率は、その電気系統における需要電力と最大電力の比率」のこと。
電気はいつでも最大電力を使用しているわけでありませんね。
この考え方が需要率で、それを考慮して需要率から、その環境に適したリミッター契約
を選ぶのがおすすめです。

ただ、現在はスマートメーターにそのリミッターとしての機能が内蔵されており、設置後は、リミッタースペースへのアンペアブレーカの設置が不要になっているので購入の際にはその点にも注意が必要です。

分電盤のリミッタースペース「あり」と「なし」はどうやって決まる?

先ほども少し触れましたが、もともとリミッタースペースがありの地域となしの地域があります。

具体的には、お住まいの地域を管轄する電力会社によって、リミッタースペースの「あり」「なし」が決まってくるわけです。

日本全国各地域のリミッタースペースの「あり」「なし」について

電力会社は国内において北海道・東北・東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州・沖縄の10社に分けられます。

リミッターの設置、つまりリミッタースペースの「あり」「なし」についても、各電力会社によって取り扱いが違います。

図2に各電力会社のリッター設置の有無を掲載していますので参考にしてください。

図2.分電盤のリミッタースペースの有り無しのイメージ

分電盤 地域別 リミッターの有無 

また、リミッターの有無とは別にすべての電力会社でスマートメーターの導入が進んでいます。

表1に各地域とリミッターの有無、スマートメーターへの移行割合を表にしていますので、併せて参考にしてみてください。

表1.地域別のリミッターの有無及びスマートメーターの移行割合について

地域
(電力会社)
リミッターの
有無
スマートメーターへの移行割合 備  考
北海道電力 2021年度末時点 約8割 現在、新規にリミッターの設置が必要となる場合は、基本的にスマートメーターに内蔵するリミッター(開閉器)を使用
※一部、電灯回路と深夜電力回路が共有している場合等については、リミッターを使用
東北電力 2021年3月末 72.6%
東京電力 一部切り替えが困難な箇所を除いて100%
中部電力 2022年度末を目標として移行中
北陸電力 2022年 80%
関西電力 2021年9月末時点で1242万台/1300万台 管轄管内において、分電盤におけるリミッター(送配電会社との契約用ブレーカ)は、一部の契約のみが対象。 リミッターはお客さま(電気工事会社もしくは需要者で準備の上、施工)
中国電力 非公開 一部のお客様にリミッター(電流制限器)を設置
四国電力 2022年3月末時点において約80%がスマートメーターへ移行済。
九州電力 2022年3月末時点で約8割 新築等により、新たに電気をお使いになる場合は、基本的に分電盤へのリミッター設置は無し(不要)。
※電流制限機能を有するスマートメーターを取付  なお、リミッターが取付られている既存のお客さまについては、お客さまの増設等によりメーターを取替える必要が生じた際に電流制限機能を有するスマートメーターに取替え、リミッターを回収。
沖縄電力 2021年3月末時点で61.5%

※ 設置環境や状況により、この限りでない場合がありますので、ご購入前に契約する電力会社に必ずお問い合わせ下さい。

表1を見てもわかる通り、各地域でかなりスマートメーターの導入が進んでおり、1~2年ですべての地域で導入が完了する見通しです。

スマートメーターとは?

先ほどからたびたび登場するスマートメーターについて解説します。

2016年4月の電力の自由化以降、本体に通信機能を備えた新しい電力メーターである「スマートメーター」の普及が進んでいます。

スマートメーターにはアンペアブレーカーの機能が内蔵されているため、現行品からスマートメーター設置した後は、リミッターの設置そのものが不要になります。

従来のメーターとスマートメーターの違い

さて、そんなスマートメーターですが、従来のものとどのように違うのでしょうか。

まず、見た目の違いは、従来のタイプは使用電力がアナログ式ですが、スマートメーターは図3のようにデジタル(液晶画面)で表示されています。

分電盤 電力計 従来品 スマートメーター

スマートメーター導入のメリット

新たに導入されたスマートメーターには、いくつかのメリットがあります。

訪問の検診が不要になる

従来の電力計では、検針員による訪問検針が必要でした。

スマートメーターであれば通信機能を活用して遠隔で検診できるため、電気の訪問検針は必要がなくなります。

電気事業者の負担も軽くなりますし、設置個所などの状況で立ち合いが必要であった場合でも、その必要がなくなり利用者側にもメリットとなります。

もちろん家屋内に入る必要はないので、防犯面においても安心感を得ることができますね。

アンペア変更が遠隔で可能となる

リミッタースペースが必要な分電盤を使用していた地域(アンペア契約)の場合、契約アンペアを超えた電力を使うと家屋等全体が停電してしまいます。

通常は頻繁にアンペア数は変える必要はありませんが、新たに設置した家電や電力を多く使用する設備を導入した場合、契約アンペアを変更する必要があります。

その場合には、分電盤に設置されているアンペアブレーカー自体を交換しなければなりません。

そのような場合でも、スマートメーターであれば、遠隔操作で変更できるので、原則として作業時の立会いの必要がありません。

停電時の復旧作業が楽で早い

従来は電気を一度に使いすぎて停電状態になってしまった時には、アンペアブレーカーを手動で元に戻さなければなりませんでした。

スマートメーターであれば、内部のにあるブレーカー機能が働き、最短で10秒ほどで自動的に復旧します。

電気の使用量を簡単に把握できる

スマートメーターの導入により、契約している電力会社のウェブサイトで電気の使用量をグラフなどで見ることができる場合があります。

ちなみに、以下に関西電力のウェブサイト「はぴeみる電」での電気の使用量を表した図をサンプルとして掲載していますので参考にしてください。

図3.「はぴeみる電」の時間別月の電気使用量

分電盤 スマートメーター はぴeみる電 月

2022年5月分の時間別の電気使用量で表示されているのは、23時の1カ月分(8.3kWh)の電気使用量です。

図4.「はぴeみる電」の時間別日の電気使用量

分電盤 スマートメーター はぴeみる電 日

2022年6月2日の時間別の電気使用量で23時(0.20kWh)の電気使用量です。

このように時間帯別で現在の電気使用を把握することができるので、各電力会社での料金プランを選ぶときなどの参考になります。

もちろん特に多い時間帯があれば、その原因なども検証しやすくなり節電対策にもなるので大変便利な機能ですね。

スマートメーター導入のデメリット

スマートメーターを導入することで多くのメリットがありますが、デメリットはないのでしょうか。

考えられるのは、万が一データが漏洩した場合に、電力の時間ごとの使用状況がわかりますので、空き巣など防犯の点が気になるところです。

もちろん、データの送受信のセキュリティ対策はされてます。

ただ、パソコンにデータを取り込んだ場合、パソコンそのもののセキュリティが甘いとデータ漏洩の危険があるので注意しましょう。

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パナソニック 住宅分電盤 選定・販売ページ(コスモパネル フタ付分電盤 リミッタースペースあり)

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まとめ

本記事のポイントをまとめます。

ポイント分電盤のリミッタースペースとは?のまとめ
 ① 地域によってリミッタースペースの要・不要が分かれる
 ② 近い将来にはリミッタースペースは不要になる
 ③ スマートメーター導入で電力使用料が把握できる
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